昨今の奥能登豪雨(石川県、2024年9月)や台風10号(静岡県、2024年8月)のような自然災害による大規模な洪水は、もはや珍しい事態ではなくなりつつあり、水害リスクへの対応が各家庭レベルにまで求められています。
また、土地や建物を取引する際の重要事項説明においても、水防法に基づき作成された水害ハザードマップを提示し、対象物件の概ねの位置を示すことが義務付けられています。
このように水害リスクへの対策は、注文住宅の土地選びにおいても重要なポイントであることが分かり、千葉県で土地を探す際にもあらかじめチェックしておくことが重要です。
千葉県では、「千葉市地震・風水害ハザードマップ」、松戸市の「やさシティマップ」などが、水害リスクへの情報を得るにはおすすめといえます。
今回の記事では水害リスクを軽減できる土地の条件についても触れますので、これから千葉県で注文住宅を建てる際の参考になれば幸いです。
千葉県は東西と南が海に面しており、さらに印旗沼や利根川といった河川があるため、洪水のリスクに備える必要性は高いと考えます。
そのため千葉県で土地を購入する際には、まずハザードマップの分類と確認方法を正しく理解し判断することが重要です。
この章では、水害の分類と洪水浸水想定区域の基本的な確認方法についてお伝えします。
水害には「洪水」と「高潮」、「内水」、「津波」があり、千葉県では全てチェックが可能です。
それぞれの水害については、次のような特徴があります。
水害の分類 |
特徴 |
洪水 |
豪雨等により河川の水かさが増え河の水が堤防を乗り越えることで堤防に大きい圧力がかかり、破堤することで発生する水害。 |
高潮 |
台風などの影響によって気圧が低下し海面が吸い上げられ、さらに強風により海面が吹き寄せられるなどして海面の水位自体が普段よりも上昇することで起きる水害 |
内水 |
堤防の内側や市街地に豪雨が降った際にその土地の雨水が排水能力を超え、土地や道路、建物が水に浸かってしまう水害 |
津波 |
地震や火山活動等によって海底の地形が急激に変化し、海面が盛り上がることで発生する水害 |
洪水と内水は大きな河川がある付近で発生しやすく、高潮は千葉県の西側で発生する可能性があります。
津波は西側と東側河川が対象となっていることから、なるべく千葉県の中央付近で土地を探す人が多いです。
千葉県では、水防法の規定により作成が必要な県が管理する河川全ての洪水のハザードマップを「洪水浸水想定区域」として、河川名や周辺のリスクについて公表しています。
関係市町村別にPDFが閲覧できますが、千葉市内においてはWeb版の「千葉市地震・風水害ハザードマップ」で確認が可能です。
サイトにアクセスすると地図上でハザードマップを確認することができますが、確認するためのステップは次のようになります。
2の表示したい洪水には5種類があり、次のような意味があります。
洪水浸水想定区域の種類 |
特徴 |
計画規模 |
概ね50年に1度起こりうる降雨により河川が氾濫した場合に、想定される浸水区域及び水深を表示 |
想定最大規模 |
概ね1,000年に1度起こりうる降雨により河川が氾濫した場合に、想定される浸水区域及び水深を表示 |
浸水継続時間 |
概ね1,000年に1度起こりうる降雨により氾濫した場合に、水深が0.5メートル以上になってから、最終的に0.5m未満になるまでの想定される時間を表示 |
氾濫流 |
概ね1,000年に1度起こりうる降雨に伴う洪水氾濫流により、家屋が流出・倒壊する恐れがある区域を表示 |
河岸侵食 |
概ね1,000年に1度起こりうる降雨に伴う洪水時の河岸浸食により、家屋が流出・倒壊する恐れがある区域を表示 |
上記の洪水は全ての河川が対象ではなく、自治体が必要だと感じた河川が表示されるしくみです。
たとえば印旗放水路や勝田川、浜田川、浜野川、生実川、菊田川は計画規模で非該当ですが、想定最大規模では該当します。
そのためハザードマップを確認する際には、なるべく多くの項目にチェックを入れ、漏れがないようにしておくことがポイントです。
水害リスクの影響が少ない千葉県内での土地の物件情報を得るには、市町村単位で物件を表示すると、価格の確認もしやすくなります。
この章では、千葉県内のハザードマップの中で浸水想定区域や防災情報を盛り込んでいる「千葉市地震・風水害ハザードマップ」と、埼玉県と東京都の県境にある松戸市の「やさシティマップ」を例に、洪水リスクに対する見方について触れてみます。
土地探しのエリアで迷っている人は購入時の判断材料にしてください。
主に千葉市内を中心に土地を探して注文住宅を建てる場合は、Web版の千葉市地震・風水害ハザードマップが役立ちます。
操作方法は前述したとおりですが、市内全体を見るよりはピンポイントで建築予定地を指定することをおすすめします。
マップに表示する洪水の種類は、全5種類にチェックを入れておくとよいです。
例えば駅近を希望した場合、千葉駅と千葉中央駅では各段にリスク度合いが異なります。
千葉駅から1駅離れた都賀駅では、ほぼ洪水リスクはマップ上では表示されていません。
予算との兼ね合いで千葉駅周辺での土地の確保が難しい場合は、都賀駅ならどうだろうかという検討ができます。
あくまでも洪水リクスは想定にすぎませんがリスクは洪水だけでありませんので、地震なども含めて総合的に判断する場合は、ハザードマップなしでは難しいです。
千葉県と埼玉県、東京都の境に位置する松戸市には江戸川があるために独自のハザードマップが公開されており、Webで確認することができます。
千葉市地震・風水害ハザードマップと同様に、洪水や内水、高潮、津波に関するリスクを確認することができますが、これ以外にも避難場所やアンダーパス、急傾斜値、橋の場所が表示される機能があります。
そのため、より具体的に危ない場所や避難場所までの安全なルートを確認できることから、松戸市を新しい住まいの候補地に入れる場合は、やさシティマップの利用がおすすめです。
松戸市を含めた、千葉県内の土地情報は日々更新されていますので、ぜひ参照してみてください。
千葉県は中央に山間部があり、雨水は東西と南にある海に向かって流れていきます。
さらに千葉市をはじめとする多くの都市は海に近い場所にあるため、ハザードマップでリスクが表示される部分を避けることは難しいですが、土地の条件を見直すことで少しは水害リスクを下げることは可能です。
この章では、水害リスクを軽減するための土地条件についてお伝えします。
標高が高い土地や高台は津波や高潮の被害が少なく、ハザードマップに該当していても標高の低い場所に水は流れるため、浸水時間は短くなると考えられます。
たとえば館山自動車道の市原SAや姉崎袖ヶ浦IC付近は標高が50mを超えており、水害リスクは低いと考えられます。
どの水害にもある程度の抵抗ができる土地を購入したい場合は、このような場所の検討はおすすめです。
ただし水害リスクが低いエリアであっても、市街化調整区域であれば建築許可がおりないケースも多くなります。
さらに標高の高い場所は、水害リスクは少ないですが、住宅予定地の裏側は土手や崖であるという立地は、土砂崩れのリスクが高いということになります。
標高の高い場所でもある程度開けたエリアを探すことができれば、双方のリスクは抑えられる可能性は高まりますが、ゼロになるということではありません。
水害リスクは河川と海岸からの距離と比例して低くなるため、大きな河川の場所をチェックした上で土地探しをするという考え方もあります。
利根川や江戸川のような大きな河川や沼はともかく、現地へ赴き、小さな河川も見えない場所を優先的に選ぶこともひとつの水害対策です。
さらに気になる土地があれば、不動産会社のスタッフや役所へ過去の浸水被害や大雨が降った時の対策や避難経路なども尋ねて把握しておくだけでも有効といえます。
普段は穏やかで小さな河川だとしても、予想に反して上流から突然の鉄砲水が起こることも予想されます。
万一を避けたい場合は、河川と海岸沿いは避けて、内陸の平野部や高台などがよさそうです。
千葉県においては、千葉市や松戸市、船橋市、柏市など、行政やビジネスの中心となる都市は、河川や海岸の近くに位置しています。
利便性の高いエリアは水害リスクも高く、利便性とのバランスをどう考えるかで、土地探しの方向性は大きく異なります。
そのため水害リスクの分類とハザードマップの確認方法は正しく理解する必要があり、家族全員でしっかり話し合った上でエリア選定することが重要です。
水害リスクを考慮した千葉県の土地探しは、リブワークのe土地netにお任せください。
また、千葉県で注文住宅を建築される方で、土地情報をお求めの方はリブワークにぜひご相談ください。