固定資産税は1月1日時点で、土地、家屋(建物)、償却資産を所有している人に対して、その評価額に応じた税額を負担するしくみです。
福岡市では都市計画税と合算で、年4回に分けて納税することになっています。
特に注文住宅を新築する場合は、土地と建物に対する固定資産税の納税が発生します。
納税額が気になる場合は、概算ですが事前に目安程度には算出可能なため、今回のコラムは固定資産税の評価額の調べ方と実際の計算方法が主な内容です。
固定資産税の特例や軽減措置についても触れますので参考にしてください。
固定資産税は課税標準額に税率を掛け合わせて計算するため、まずは課税標準額とは何かを知る必要があります。
さらに関連する用語として固定資産税評価額、それらに関与する税の特例や軽減措置についての情報も無視できません。
まずは固定資産税について正しく理解するために、
ならびに特例や軽減措置についてお伝えすることにします。
固定資産税評価額は固定資産税を決める際の基準となる金額のことで、各市町村が固定資産評価基準によって算定しています。
3年ごとに評価替えが行われます。
目安として使われる数字は、国土交通省の公示地価の約70%です。
もしくは固定資産税路線価に土地面積を乗じると、固定資産税評価額の概算が求められます。
ここで使われる固定資産税路線価は、俗にいう「路線価」とは微妙に異なります。
一般的に路線価とは相続税路線価を指し、その違いは、
という、公表する機関と目安の割合です。
福岡市の場合、土地の評価額は、
地価公示価格や不動産鑑定士が算定した鑑定評価価格を基礎とした標準宅地の適正な時価に基づき決定
しており、建物の評価のしくみに関しては、
固定資産評価基準により、再建築価格を基準に評価
とホームページに記載されています。(福岡市 固定資産税 - 税額の算出方法)
法律や条例で定められた軽減措置や特例を考慮したうえで、実際に税率が適用される金額です。
新築住宅に特化した軽減措置もあれば、各自治体が公開している特例もあるため、課税標準額は税の負担者によって異なります。
軽減措置については後述しますが、例として「小規模住宅用地の特例」を挙げます。
この特例は、200㎡以下の小規模住宅用地ならば固定資産税評価額が1/6となり、都市計画税における課税標準は固定資産税評価額の1/3になる内容です。
結局は、
ということになります。
これが所得税や住民税となると、課税標準額のベースは給与所得や事業所得などになるわけです。
軽減措置や特例の適用については、ハウスメーカーなどに確認するようにしてください。
同時に、福岡県内の土地情報も確認しておきましょう。
この章では、以下の内容で建物と土地の固定資産税をシミュレーションしてみます。
注文住宅として新築する際の固定資産税を、概算でも事前に知りたい場合の参考にしてください。
設定した数字は、あくまでも仮定です。
建物の固定資産税評価額は、再建築価格と経年減点補正率を掛け合わせることで算出することができます。
再建築価格とは、「建物完成時と同じ建物を建てた場合の価格」のことです。
築年数が古い建物は新築時と比較して資産価値の低減が発生しますが、新築住宅の場合はほとんどありません。
そのため、経年劣化による補正率も1年以内の0.8が適用され、再建築価格が2,000万円とすると、1,600万円が建物の評価額となります。
具体的な計算式としては、
(2,000万円×0.8)×1.4%(税率)=22.4万
となり、約23万円が固定資産税の目安と判断します。
実際には特例や軽減措置が適用されれば、固定資産税の負担は軽くなる可能性が高いです。
ゆえに、適用できる制度の有無のチェックも重要になります。
建物は経年劣化が進むため、3年に1度の評価替えによって固定資産税が減額されることも少なくありません。
ただし減額の割合は建物の構造や仕様によって異なる上に、最近の新築住宅は高性能住宅であるため資産価値が担保されやすく、その結果、固定資産税が下がりにくい傾向です。
そのため、過度な固定資産税の減額への期待は持たず、あくまでも予算に見合った住宅の建築に意識を向けたほうが満足度は高まります。
前述のとおり、固定資産税路線価が70万円/㎡で評点が0.9、土地面積を150㎡と仮定したときの計算式は
70万円/㎡×0.9×150㎡=9,450万
となり、固定資産税評価額(課税標準額)が算出されます。
その固定資産税評価額に税率を掛けると、土地の固定資産税の概算がわかります。
9,450万円×1.4%=約132万円
非常に高額な税額となりましたが、この仮定においては、後述する住宅用地特例の面積要件(200㎡まで)をクリアしているため、1/6まで軽減することができます。
特例が適用されるとしても、福岡県内はエリアによって土地の相場が大きいのが特徴です。
特に福岡市は、12年連続で住宅地の地価は上昇しています。
令和6年の地価公示(令和6年地価公示 - 福岡県庁ホームページ)では、1㎡あたりの住宅地の価格トップ3は、
となっており、いずれも中央区です。
ただし、土地の形状や道路の方位によって評点が異なれば、同じエリアであっても固定資産税は変動する可能性はあります。
そのため、検討しているエリアの相場や土地の状況次第では、軽減措置を適用しても、高額な固定資産税を納税、あるいは意外な軽減効果がでることもあり、シミュレーションでの目安を知ることは非常におすすめといえます。
土地と建物の価格を知りたい場合は、福岡県内の物件情報をご覧ください。
福岡県内の土地を購入して注文住宅を新築すると、ランニングコストとして固定資産税の納税は所有権がある限り続きます。
少しでも固定資産税の負担は押さえたいところですが、こればかりは自助努力ではどうしようもありません。
そこで住宅の新築を推進する意味も含めて軽減措置があるわけですが、この章では代表的な「新築住宅特例」と「住宅用地特例」について、詳しくお伝えすることにします。
正式名称は「新築住宅に係る税額の減額措置」といいます。
令和8年3月31日までに新築された場合、以下の要件を満たすことで税額を50%軽減できる特例です。
ただし、店舗や事務所が併設されている場合は、建物の床面積は120㎡までが軽減の対象となります。
なお新築住宅特例が適用できる期間は一般住宅で3年間となりますが、3階建て以上の耐火構造住宅もしくは準耐火構造住宅、認定長期優良住宅であれば、新築後5年間です。
4年目から軽減措置は解除されて、固定資産税の金額は元に戻ります。
一気に倍増するため、まるで増税のような錯覚に陥りますが、慌てることのないよう収入を増やす、節約に励むといった家計の改善を行っておくことをおすすめします。
正式名称は「住宅用地に対する課税標準の特例措置」です。
住宅用地特例を利用することで固定資産税評価額を1/6を課税標準額として軽減することができます。
ただし面積の要件があり、次のようなルールとなっています。
ここで注意しておくべきことは、200㎡を少しでも超えると敷地の全てに対して1/3に変更になるわけではないということです。
例えば、250㎡の土地ならば、
固定資産税は、物件を引き渡されてから負担するランニングコストのひとつです。
軽減措置の適用で大幅に減額される可能性はありますが、あくまでも時限的な措置のため、通常の税額になるとその負担は重くなります。
その辺を踏まえて、資金計画のシミュレーションをしておくことをおすすめします。
例えば、4年目から住宅ローンの返済額を変更して固定資産税が元に戻った時の支払いに対応するという手段も、シミュレーションをしていればこそ選択が可能です。
検討しているエリアで土地の購入や注文住宅を新築するならば、あらかじめハウスメーカーや不動産会社に固定資産税について質問し、目安の金額が計算できる準備をしておくとよいです。
福岡県の土地探しは、リブワークのe土地netにお任せください。
また、福岡県で注文住宅を建築される方で、土地情報をお求めの方はリブワークにぜひご相談ください。