光熱費の高騰を受け、少ないエネルギーで生活できる省エネ住宅は、今後、神奈川県の注文住宅においても主流となっていくものと予想しています。
ハウスメーカーや工務店は省エネ住宅をトレンドとしてラインナップしていますが、省エネ住宅の中でも「パッシブハウス」を知っておいて損はありません。
パッシブハウスはまだ認知度が低いため多くの人に知られてはいませんが、設備に頼り切らない方法で快適な住環境を維持する、人と自然に優しい住宅です。
そこで今回の記事では、パッシブハウスとは何か、これから省エネ住宅の代表格であるZEHとの違いはどこにあるのか、基本的な概要も含めてお伝えすることにします。
パッシブハウスとは、パッシブハウスを国内に展開する神奈川県のパッシブハウス・ジャパンによると、
断熱材や高性能な窓、熱ロスの少ない換気システムなどを駆使して、 寒さや暑さをガマンしない、快適さを生み出す家
を指します。
一般的な省エネ住宅と違って、年間で消費する一次エネルギーや冷暖房の需要、気密性に厳しい基準が設けられており、これらの基準はパッシブハウス・ジャパンによって評価、クリアしなければ認定されません。
一般的な住宅のパンフレットに記載されているような、「快適」や「高性能」といった曖昧な表現をしないため、どのような地域で建築しても同じ環境で暮らすことができます。
パッシブハウスを「低燃費の家」と表現することもありますが、冷暖房機器を全く使わないわけではありません。
しかし現実には、冷暖房機器の依存率が高い住宅が多く、この傾向は人にも環境にも良くないと考え、冷暖房機器の需要を一定以下に下げることが、パッシブハウスの認定基準にも盛り込まれています。
これ以外にも、石油や石炭、天然ガスといった一次エネルギー使用量や気密性について、以下のように規定されており、高い精度で建築するハウスメーカーや工務店でなければ、クリアは難しいとされるほどの高品質が特徴です。
パッシブハウスの基準 |
認定レベル |
冷暖房負荷 |
年間15kWh/㎡以下(地域による) |
一次エネルギー消費量 |
年間120kWh/㎡以下 |
気密性能 |
50Paの加圧時に漏気回数が0.6回以下 |
なお、一次エネルギー消費量には冷暖房機器が消費するエネルギーだけでなく、照明や換気、給湯設備の消費エネルギーも加算されます。
つまり、パッシブハウスが持つ特徴とは、ただ冷暖房機器なしでも暮らせる家というだけでなく、太陽光や自然の風を活用しながら快適性を維持できることです。
パッシブハウスは省エネ住宅としても優れています。
前述した基準をクリアするためには、建築のプランニング時点で快適性を実現できる住宅にする必要があり、たとえば太陽光の照射時間や確度、風通りの向きなどを計算し設計されます。
パッシブハウスは、他の省エネ住宅とは根本的に違った構造にすることでエネルギー消費を抑え、冷暖房機器の作動音がほとんどしない静かな環境を好む方には最適です。
特に気密性と断熱性能はトップクラスの住宅となっており、「省エネ基準」「ZEH」よりも厳しいとされる「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会(HEAT20)」が公表している断熱基準の最高レベルであるG3に匹敵します。
このことからもパッシブハウスは、人が地球環境のために我慢するのではなく、気持ちよく生活しながら省エネ生活を実現できる住宅といえます。
まずは、パッシブハウスに最適な神奈川県の土地情報と新築プランの検討からはじめましょう。
パッシブハウスは断熱性能と気密性能が高いだけでなく、熱を遮断する遮熱性や熱を蓄える蓄熱性も大きなデザインポイントです。
その一方で、外気温の影響を受けづらく、一定の室温を保てる「高気密高断熱住宅」は、空気が循環しにくい面もあるため高い換気性能が重要となりますが、換気による室温の変化は避けられません。
場合によっては、空気中に漂う有害物質を家屋内に入り込むリスクもあり、子どもやペット、高齢者がいる世帯では健康被害が懸念されます。
このような問題を解決するために、パッシブハウスには「高気密高断熱」と合わせて、熱交換換気システムもパッシブハウスにとっては重要なポイントです。
断熱性能が高ければ、外の温度変化による室内の気温は安定し、1年を通して快適な空間を維持することが可能です。
また、高気密によって空気中の有害物質を室内に侵入させにくいため、健康的な暮らしを実現することができ、さらにカビやダニの発生を抑制することができます。
ゆえに、ハウスメーカーはこぞって気密性と断熱性の高さをアピールしますが、パッシブハウスはさらに遮熱性と蓄熱性も考慮された設計がベースです。
パッシブハウスは軒やひさしを長く設計することで、直接、太陽光が部屋に入る量を調整し、自然エネルギーを使ったバランスの良い室内環境を実現しています。
さらに太陽光を蓄熱し、気温の低い時に放出する蓄熱材を採用することで、より冷暖房機器の使用量を減らすことが可能です。
このような特徴から、パッシブハウスは例年発生する異常気象に対応できるだけでなく、自然エネルギーをうまく活用した上で、安心して暮らし続けられる住宅といえます。
断熱性と気密性を向上させることで「魔法瓶」のような効果が住宅に期待できますが、その一方で、空気が循環しなくなりがちです。
このような状況が長く続いてしまうと、建材の中に含まれている化学物質が家屋内に滞留してしまい、シックハウス症候群の原因にもなりかねません。
しかし、換気をするために空気を外気から取り入れてしまうと、空気中の有害物質も取り込む可能性があるため、別の健康被害も懸念されます。
パッシブハウスでは、その基準の高さから高性能な熱交換換気システムが搭載されており、安全な空気のみを室内で循環させることが可能となっているため、これらの問題を鎮めることも期待できます。
熱交換換気システムとは、外気の熱を調整して室内に取り込むシステムのことですが、パッシブハウスでの熱交換換気システムは、前提としてドイツパッシブハウス研究所のお墨付きでなければ、その後の認定において不利になることも少なくありません。
状況によっては、基準をクリアできる国産の熱交換換気システム探しも求められるため、このような時にこそ、パッシブハウスの建築実績のあるハウスメーカーや工務店が頼れる存在となるわけです。
24時間の熱交換換気システムと1台のエアコンでの空調が、まさにパッシブハウスに代表される換気のしくみといえます。
まずは、パッシブハウスに適した、神奈川県の土地を探すことからスタートです。
パッシブとは「受動的」という意味があり、パッシブハウスは自然発生する太陽光や風のエネルギーの活用、かつ、冷暖房機器に頼り過ぎない快適で空調が安定した住宅を目指します。
一方、ZEH(Net Zero Energy House: ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は最先端の技術を集結させ、消費エネルギーを創エネと省エネによってゼロ以下にする住宅です。
つまり、どちらも省エネ住宅には変わりないものの、目的や認定基準をクリアするアプローチが全く違うことが分かります。
この章ではパッシブハウスとZEHのエネルギー消費やコストの違いについて、少し詳しくお伝えします。
パッシブハウスとZEHのエネルギー消費における認定基準には、次のような違いがあります。
パッシブハウス |
ZEH住宅 |
年間冷暖房需要15kWh/㎡以下 気密性50パスカル加圧および減圧時に漏気回数が0.6回以下 |
強化外皮基準を満たした上で、UA値が • 1・2地域:0.4W/㎡相当以下 • 3地域:0.5W/㎡相当以下 • 4~7地域:0.6W/㎡相当以下 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量が削減されていること。 再生可能エネルギーが導入されていること。 再生可能エネルギーと差し引きして、基準一次エネルギー消費量から100%の一次エネルギー消費量が削減されていること |
このように基準が完全に異なることから、一概にどちらのエネルギー消費量が少なくなるのかを判断することは、少々、難しい面があります。
また家族構成や人数によってもエネルギー消費量は変化するため、住んだ後をイメージした上で、パッシブハウスとZEHを比し、どちらがふさわしいかで判断することが大切です。
パッシブハウスとZEHにおける、コスト面での主な違いを比較してみます。
初期投資を抑えたい場合はパッシブハウス、エネルギー自給を重視する場合はZEHが選択肢といえます。
パッシブハウスは、まだ一般的に普及している住宅とはいえませんが、北欧の住宅のように冷暖房器具に頼り過ぎない空調や換気に興味関心がある場合は、検討の価値があります。
ただしパッシブハウスを建築できるハウスメーカーや工務店も限られることから、まずは、業者探しからスタートです。
パッシブハウス・ジャパン公式サイトの賛助会員検索を利用して、アプローチすることをおすすめします。
その前に、神奈川県の注文住宅向けの土地探しは、リブワークのe土地netにお任せください。
また、神奈川県で注文住宅を建築される方で、土地情報をお求めの方はリブワークにぜひご相談ください。